目の前の信号が赤になったのでペースをゆるめ走っていました。
するとフラフラとした足取りで道路を渡ろうとする少年が。
「危ないっ!」
思わず叫びながらその子を止めた。
『あぁ…赤か…』
虚ろな目をした少年はそう呟くと、道路の端に座り込んでしまった。
明らかに様子がおかしい。
「大丈夫?」「しんどい?」
言葉をかける私。
『だぃじょ…ぶ…』
大丈夫ではないことは分かった。
この日は37度の最高気温が予報された大阪。
まだ朝の9時前だったけど30度は越えていたのだろう。
直射日光に照らされ変な汗をかいていた少年。
熱中症かもしれない。
私は木陰にタオルを敷きその子を横に寝させて、持っていた保冷剤で首元を冷やした。
救急車を呼ぼうとすると繰り返し『大丈夫だから…大丈夫だから』と言って『喉がかわいた』と言う。
少年は水筒を持っていない。
側の自販機でポカリを買って飲ませた。
「名前言える?」
『…A太…』
「A太くん、お家の電話番号わかる?お母さんの携帯とか」
木陰で水分を摂って少し顔色が落ち着いたA太くん。
話を聞くと隣の小学校の四年生。
習い事に行くところだったらしい。
寝坊して朝ごはん食べてなくて、遅刻しそうで走ったらしんどくなったらしい。
しかし、困った。
A太くん、家の電話番号も親の携帯の番号もわからないんだそうだ。
いつもはキッズ携帯を使用しているからワンタッチで繋がる。だから番号は覚えていないって。
でも今日は朝のバタバタで持って出るのを忘れてしまったと。
困った。
連絡の取りようがない。
本人は「大丈夫」と言うが、このまま歩いて一人習い事に行かせていいものだろうか?
もしまた体調悪くなったら?
道路に飛び出しちゃったら?
ふらついて倒れて打ち所が悪かったら?
良くないことばかり頭をよぎる。
家まで送るか習い事先まで送るか聞いたら、習い事の場所のほうが近いとのこと。
「じゃあ習い事のところまで一緒に行こう。そこで先生からお家に連絡してもらおう」
子供と近い年齢のA太くんを放っては行けなくて習い事まで一緒に行って先生に説明をした。
そして先生が保護者に連絡をしようとするとA太くんが声を荒げた。
『お母さんには言わないで!!』
今までおとなしかったA太くんが発した大きな声とその内容に驚いた。
お母さんに怒られるから言わないで!
習い事をサボりたいからだって言われる。
気持ちが足りないからだって怒られる。
……
困る先生と私。
判断は先生にお任せすることにした。
熱中症になると怒られちゃうのか…
確かに帽子は被ってなかった。
水筒も持ってなかった。
そのことをお母さんがちゃんと水筒や帽子持って行きなさいよって言ってたのなら、なんで持って行かなかったの!と言われちゃうかもしれない。
でも習い事への気持ちが足りないとか、サボりたいからウソ言ってる!なんてきっと思わないと思うんだけどな。
A太くんの血の気のない顔色や、虚ろな目、フラついた足取りは、仮病なんかじゃないことは私が見ていたし。
それに、A太くんがもう元気になって習い事もいつも通りできたとしても、親としては倒れかけたことは知っておきたい。
習い事帰ってきてからの様子を気にかけることもできるし。
知ると対策が取れる。
明日からは一人で行かせないようにしようとか、声をかけるだけでなくちゃんと帽子や水筒持って行ったか確認しようとか思えるから、やっぱり知っていたい。
後のことは先生にお任せしてきたけれど、どうなったか気になる。

そして我が子にも再確認をした。
⚫︎家の電話番号と私の携帯番号を言えるか
⚫︎もし体調不良になったら必ず言うこと
⚫︎朝ごはんは必ず食べること
A太くんのことは他人事ではない。
まだまだ続く猛暑。
うちの子たちも、もしかしたらなるかもしれない。
そのために対策は取りすぎて困ることはないと思う。
みなさんも、くれぐれもお気をつけて…

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