今週のお題「今年買って良かったモノ」
私は知りませんでした。
この模様は木目だと思ってました。
手に取り、よく見せてもらいました。
間違いなくそれは「革」の香りがして、革の肌触りでした。
スキモレザー(漉き模様レザー)
染色した革を100枚から150枚重ね合わせて接着し、その断面を特殊な技術で漉いて柄を浮き出し複雑な柄の「スキモレザー」が生み出させる。
漉き模様から「スキモレザー」と呼ばれる。
スキモレザー革工芸大久保商店
http://homepage2.nifty.com/sukimoyou/
凄くないですか?!
これ、100枚以上重ね合わして作られたんですって!
その断面って!!
切り出す場所や切り方によって模様がすべて異なるから、同じものは2つと無くて、全てオンリーワン。世界にひとつしかないそうです。
しかもね、この技術を持つのは世界でただ一人、大久保氏しか作ることが出来ないんだって。
大久保氏は革の染色から、金型の設計まで全て自ら手がけていて量産なんてできない、一つ一つがこだわりのものばかり。
本当に芸術的です。
特許も取られているこの技術。(特許番号No.3087020号)
大久保氏は御年75。
現役で今もお作りになられていて、まだまだ本革の研究中とのことでお弟子さんは取られていないんだとか。
素晴らしい技術は後継に残されていかないともったいないなぁと率直に感じました。
技の継承の難しさ
先日、ガイヤの夜明けで『技の継承』についての放送がやってました。
京都の伝統産業の関連会社が、後継者不足で廃業の危機に面しているそうです。
西陣の綴織(つづれおり)工房や、西陣絣(にしじんかすり)の技術がなくなるかもしれない。。。。
着物を着ることが少なくなった現代は、その需要が減ってしまった。
西陣の綴織工房の職人さんは京都迎賓館に作品を展示するほどの名人だけど後継者はいなくて、技術の継承・後継者の育成はあきらめかけていた。
京都は全国から職人希望者を募り、後継者を求める中小工房をマッチングさせる全国初の試みをしているそうだ。
需要が減った中で着物や帯以外で西陣の良さを生かした新たな商品や伝統工芸品を作れないか、生き残るためにはどうしたら良いか模索していくといった内容だった。
継ぐ人がいないと消えて行ってしまう技。
「伝統」として古くから変わらぬ技法で今まで引き継がれてきたものが消えてしまう。
とてももったいない。
でも、技術で食べていくのはとても難しいらしく西陣の新人後継者さんも「暮らすだけで必死」とおっしゃっていた。
この大久保氏のスキモレザーも、子どもたちの世代にはもしかしたら買うことが出来ないかもしれない。
このスキモレザーの財布はお金では買えないくらいの価値がある気がした。
だって、しかも中には西陣織の金襴織物が使われてる!!
唯一無二の技術が合わさったこの財布。
この模様を持つのは世界でひとりだけ。
美しいこの漉き模様のレザー技術と西陣の金襴織物の技術。
どちらもなくなってほしくない。
なんでも機械化され大量生産品が安く手に入る時代だからこそ、こんな一点モノの技を大切にしたいし、子どもたちに知ってほしい。
そういう意味で「今年買って良かったモノ」はこれしかないと思った。