以前にもチラッとだけ書きましたが、私は点訳のボランティアをしています。
この春に新しい方がたくさん入ってきたので挨拶にいってきました。
新しい方はみなさん生まれつき目が見えない方です。
通常、人の第一印象って3秒から5秒で決まると言われています。
それはほぼ「視覚情報」から得た情報で決まっています。
見えない人はどうなのでしょう?
見えない人は視覚以外の感覚がとても優れています。
なかでも聴覚はすごい!
私は初めましての挨拶をしたときにあるかたに
「あなたの声の発しかたが好き」だと言われました。
こんな褒め言葉をいただいたのは初めてです。
自分で意識したこともありませんでした。
声の発し方に差があることも考えたことなんてなかった。
でも、見えない方は聴覚で感じるんですって。
その人の声の出し方、口調、トーンの高さ、言葉の選び方や話すスピードなどでその人の第一印象を感じるそうです。
自分がどんな話し方をしていたのか、あまり意識していなかったけれど好印象だったようなので良かったです。
昨日は見えない方が集まって仕事をしているところへ行ったのですが、みなさん、パソコンのスピードがめちゃくちゃ速い!!
ブラインドタッチはもちろんですが、読み上げソフトが追いつかないくらいのスピードで入力されていくので驚きました。
もちろんパソコンだけでなく、スマホも使いこなしちゃいます!
きっと超アナログな私よりうまい。。。
彼らとメールでやり取りしていると、相手が見えない人だなんて本当に感じません。
それだけではなく、まだ入って一週間ほどの方も一人で館内を歩き回ります。
エレベーターまでの距離・トイレの場所・喫煙所・階段の段差の数、どれも完璧です。
自動販売機では入っている飲み物の順を完全に記憶していて、自由に選んでます。
もうパッと見ただけでは見えないなんてわかりません。
財布のお金も指先で何円玉か、いくらの札か分かるんですもん!
彼らは自分でお弁当を作ってきていました。
料理もしはります。
音や匂い、時間や感覚で判断しながら作るんだそうです。
料理で「音」?と思ったのですが、彼らは油がはじける音や、水が煮立つ音、鍋の振動や湯気の感覚などで感じるらしいです。
お大根の煮物をひとくちいただきましたが、それはもう本当に美味しかった。
見えないことは「不便」なのかもしれないけど、見える人と生活は何ら変わりはないんだと彼らは言います。
最近の不満は、「点字図書館の本が少ないこと」とチクリといただきました(>_<)
確かに、追いついてないのが現状です。
書店で販売された本をもとに、点字に訳したり、音声にしていくのですが、作業できる人の数も足りていないし、一冊作り上げるのにとても時間がかかってしまうんだよなぁ。(~_~;)
彼らと話していると自分が当たり前のように持って生まれた「見える力」とはなんだろう?って思います。
見える人・見えない人
聴こえる人・聴こえない人
いろんな人がいるけれど、それって
背が高い人・走るのが速い人・力が強い人
それらと同じようなものなのかなって思う。
「個性」なんだって。
特別なことなんかじゃない。
可哀想じゃないし、憐みもいらない。
ただ、少し不便なこともあるから、そこに少しだけ手助けがあるといいなってだけ。
人に優しくするのに資格なんていらない。
お互いの思いやりの気持ちで気軽に助け合える、そんな世の中にもっと変わっていくといいなって彼らと話していて思いました。
点字図書ができるまで
http://www.nittento.or.jp/about/virtual/braille.html
日本ライトハウス