付き添いから始まった陸上生活
あなたが陸上に出会ったのはまだ小学1年生のころ。
当時4年生だった兄が習いたいと言ったことをきっかけにあなたも一緒に体験しに行きましたね。
その頃はまだチームも出来たばかりで10数人しかいなくて、それも大半は4年生以上。
1年生は2.3人しかいなかったよね。
体験と言っても高学年と一緒に走る練習。
長距離走のシーズンだったので、いきなり1800メートルを走ったね。
兄は走るけれど、付き添いのあなたは「走らなくてもいいよ?」「1周だけでいいよ?」とコーチに言われたのに負けん気の強い性格で最後まで走りきったよね。
兄が最後まで走るのに途中でやめることがイヤだったんだよね。
本当に驚きました。
そして兄とともに入団。
あなたの陸上生活がはじまりました。
2年生
走ることを本当に楽しんでいましたね。
週末の練習が楽しみで、平日もよく兄と走っていましたね。
3年生
1年生のころから学童に通っていて放課後は毎日学童し過ごしていたのに、やめたいと言い出したね。
学童をやめて平日も陸上の練習に行きたいと。
→8歳の娘がストイックすぎて母ちゃんついていけないのですが… -
迷ったけれど学童をやめ、週2回の練習を週5.6回コースに変更しました。
コーチの話を真面目に聞き、聞いた話を陸上ノートに書き、その日の練習・タイム・もらったアドバイスなどを自分なりにつけている姿を見て、やりたいだけやらせてあげよう。応援しようと思いました。
4年生
念願のスパイク、そしてユニフォームを手に入れましたね。
「欲しいから買って」
ではなく、
目標を設定し、その目標に向けて練習し、そして達成し手に入れたスパイクとユニフォーム。
目標を達成するためには近い目標を設定しひとつずつ確実にクリアしていくことが大切なんだと9歳のあなたに教わりました。
4年生の記録会では「大阪で1番早い4年女子」になりましたね!
努力して努力して、そして賞状に加えて金色メダルも手にしたあなたを本当に誇らしく思いました。
でも…好長期ばかりが続くわけではなかったね。
5年生
なかなか伸びない記録に悩みましたね。
陸上の100メートル以外の種目にも挑戦しました。
でも100メートル走も800メートル走も記録が伸びない。
もどかしかったね。
でもそれも乗り越えた!
ひと回り大きく成長したね。
陸上冬の全国大会であるクロスカントリーリレーに向けての練習は本当にキツかったね。
この5年生の冬の数ヵ月があなたの6年間の陸上生活のなかで1番つらかったのではないかと思います。
毎週行われるタイムレース。
全国大会に出たい気持ちはチームみんな同じ。
だれが出るのか。
選抜メンバーに選ばれるのは誰か。
仲間だけどライバル。
追いかけて追いかけられて、苦しかったと思います。
そして6年生。
この1年間も本当にいろんなことがあったね。
走りたいのに足が痛くて思うように走れなかったり。
この時は走る筋力よりも今は身体を支える筋力を付ける時期だとしっかりと足の裏のトレーニングもしたね。
そのとき出来ることを一生懸命する。
当たり前のようだけどなかなか出来ることではないと思うよ。
やっと足が良くなってきたと思った時に次は体調不良が続いてしまったね。
これは本当につらかった。
走りたがるあなた。
でも走るとしんどくなる。
休んだほうが良いのではないかと思う。
でも休むことはしたくないとあなたは言う。
原因が分かるまではつらかったね。
原因が分かってもキツかったね。
どうして走りたいのに思うように走れないんだろう。
どうして走ると目眩腹痛頭痛がしてしまうんだろう。
走りたいのに
走りたいのに
走りたいのに…。
気持ちと身体が繋がらなくて、でも自分ではどうしたら良いのかもわからなくて本当につらかったね。
そんな気持ちもあるなかでも、全国小学生陸上競技大会の大阪代表に選ばれた仲間を応援しに横浜まで行ったね。
自分は出られなかったけれど、選ばれた仲間のことを大きな声で精一杯思いを込めて応援している姿はまた成長を感じました。
走って走って走った6年間!
入ったときはまだ数十人だったできたてのチームが6年経ち、いまでは180人を超える大きなチームになったね。
陸上のことだけではなく、挨拶や礼儀などにも厳しく丁寧に教えてもらったね。
走ることが好き。
でも何よりもこのチームが大好きで、ここの仲間が大好きで今まで続けてくることができたね。
平坦な道ばかりではなかった。
突然道がなくなり崖から落とされたかと思えば、上っても上っても頂上が見えない上り坂に思えるくらい苦しい怪我や病に泣いたこともあったね。
それでもやめたいとは言わず、もくもくと「できること」を探し続けてきたあなたは本当によくがんばったと思います。
引っ越して転校することになりチームをやめようか迷った時もあったね。
新しい学校にも陸上チームはあった。
それでもこのチームで走りたい!と強く望んだあなた。
最後の2年間はバスと電車を乗り継いで毎週練習に通ったよね。
それだけ思いを強く持てるチーム、信じられるコーチ、支えあえる仲間に出会えたことはきっと一生の宝になると思うよ。
卒団おめでとう!
私はあなたの走りを見ることがとても好きでした。
同じ学年の中でも人より小柄なあなた。
その小さな身体のどこにそんなパワーがあるのだろう。
いつもそう思っていました。
大雨で前が見えなくなるくらいビショ濡れの記録会もあったね。
向かい風が強くて、走っても走っても進まないときもあった。
暑くて暑くてクラクラする日も、震えるくらい寒い日も走っていたね。
しっかりと前を見つめ、一歩一歩強く足を出し進む姿。
最後の最後まで絶対に諦めることなくゴールへと向かう姿。
自分が走り終わった後は休む間もなく仲間の応援へと向かっていたね。
もう立てないくらい全力で走りきっただろうに、
まだ肩で息をして呼吸も整ってないだろうに。
仲間の応援にも全力だった。
あなたの走る姿、陸上への姿勢を見てたくさんの感動をもらいました。
走れないときは声が枯れるまで仲間に声援をおくり、計測の手伝いをしたり、下級生にフォームを教えたり、ペースメーカーをしていたね。
だからあなたはたくさんの仲間に恵まれ、下級生にも慕われていました。
そんなあなたを私は我が子ながら尊敬しています。
私の陸上応援生活も終わり。
あなたの陸上生活6年間は私の陸上応援生活の6年間でもありました。
毎週土日は休みを取り、練習のお手伝い。
陸上を教えることはできないけれど、タイムを測ったりハードルを出したり、みんなを並ばせたりはできるからね。
平日練習のときは仕事を早く切りあげあなたの送迎。
親である私の努めは、子どものやりたいことを全力で応援すること。
あなたが「本気でやる!」と決めたから、私も「本気で応援する!」と決めました。
私はあなたの一番の応援団でいること。
一番近くにいる私だからできることをやってきたつもりです。
そんな陸上応援生活ももう終わりなんだね。
もう競技場に行くことも、平日急いで帰ることもしなくていいんだね。
6年間してきたことがなくなるってなんだか不思議でまだ実感がないよ。
淋しくなりそうです。
そして最後の謝恩会
6年間の総まとめの日。
6年間のスライドショーを作りました。
この学年は創立6年のチームなので1年生からのメンバーがいる初めての学年。
さらに全国大会に出場できた初めての学年。
さらにさらに冬のクロスカントリーに出ることが出来た初めての学年。
コーチにとってもチームにとっても本当に思い出深い学年だったね。
スライドショーの製作は大変だったけれど、これは全ての大会を引率してきた、全ての合宿に参加してきた私だから作ることが出来たんだと思ってます。
何百枚もの写真を並べかえ、その作業の時にもう思い出し泣きそうになりながら作り上げたよ。
途中音楽を入れてはいけないと知りハプニングもあったけれど、みんなが感動して喜んでくれて本当に良かった。
走ることは素晴らしい!だけどたまには休んでもいいんだよ
6年間本当に走り続けたね。
よくがんばったよ!
でもね、たまには休んでもいいんだよ?
毎日毎日走っていたら身体が壊れちゃう。
「休むことも練習」そうコーチも言っていたよ。
あなたはつい頑張りすぎちゃうところがあるから、休む練習も大切にしていこうね。
中学校では陸上はどうするのかな?
6年間走り通しだったから、バスケやバレーや他の競技をしてみてもいいと思う。
楽器が好きだから吹奏楽部もいいよね。2歳からしている和太鼓が磨かれるかもね。
陸上はしてもしなくてもいいと思うよ。
やりたいことをしたらいい。
自分で決めていったらいいよ。
あなたの強いしっかりとした体幹と、しなやかな筋肉は素晴らしいから、なにか活かせるものがいいとは思うけどねw
6年間の陸上本当にお疲れさま!
卒団おめでとう!
たくさんの思い出をありがとう!